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ヒックとドラゴン観てきました。

写真撮り忘れたのでそれっぽいイラストを描いてお茶を濁すのこと。

今年の夏は素晴らしい映画が多くてホント嬉しいなあー。ヒックとドラゴンもまたその一本で、ぶっちゃけ予告観たときはハイハイ人間とドラゴンの交流、定番定番と高を括って観る気全くなかったのだけど、公開直後から「いやこれ想像以上にスゲエっす!」っていう評判を折りにつけ耳にしたので、これは食わず嫌いせず行かなきゃカナーと思い行ってきて大正解。ホントおもしろかったです。いやいやこういう口コミって有り難いですねえ。もっと、面白い映画教えてくださいー(チラッチラッ
さてさて、このヒックとドラゴン、事前情報から「人間とドラゴン」という種族間の対立を現実世界にある民族対立の暗喩として描くのかな?とか勝手に想像していたのだけど、うん。ぜんぜん違ったです。
これは普遍的な父と息子の物語なのですね。

父にとっての竜、息子にとっての竜

このストーリーは、ドラゴンと終わりなき戦いに明け暮れるバイキングの王を父に持つ気弱な息子「ヒック」が、ある日子供のドラゴンを助けてしまい、交流をもつことで、ドラゴンが実は恐ろしい存在ではなく分かりあえる存在であることに気づき葛藤するってハナシなんだけど、この筋だけ読むと良くある種族間対立の物語っぽいですよね。
だけど違った。「ドラゴン」というのは父親にとっての息子であり、息子にとっての父親なのですね。
バイキングの王である父と気弱な息子は、親子でありながら終始噛み合わない。とにかく父親に認めてもらいたい息子とモヤシっ子である息子を守りたい父親。しかし父親にとっての息子は無鉄砲でなにをやらかすかわからない怪物であり、息子にとっての父親はバイキングの王であり聞く耳を持たない巌のような存在。共にとりつく島がない、これはもうそのまんま竜の暗喩であり、「ヒックとドラゴン」とは、その父子がお互いを分かりあおうとする物語なのですね。
トゥースという若いドラゴンと手探りでお互いの距離を探る様はまさに父子の交流そのもの。木片でぐるぐる描いた線を踏まずに竜に近づく描写は言葉を介さない心の会話を見事に表現していてじーんと来たなあーお見事でした。
ところで面白いのは、現実の家族関係に於いて父と息子を取りなす役目を担う「母親」がこの家庭に不在であること。父子家庭なのですね。
辛うじて両者をつなぐ橋渡しをしてるのが父親の親友であり息子の師匠である鍛冶屋のオッサンだけなんだけど、彼が母親代わりになるにはちょっと荷が勝ちすぎてるのですね。そごが生まれる。それが最終的にお互いの対立を先鋭化させてしまうのがなんというかある意味リアルだったです。

ラストシーンのコト

すべてが決着したあと、あるコトが起こるんだけどこれをどう見るか。解釈分かれそうなカンジ。人によっては割礼と見たり犠牲と見たりするのかも。ヒックとトゥースの絆の証なんだけど個人的には父子の絆の証と受け止めました。そして、それを得るために、結局の所無傷では済まされないってメッセージのかなとかボンヤリ思ったです。

面白かったです。

今夏のアニメーション作品ではトイ・ストーリー3が一番面白い作品だナーとか漠然と思ってたんだけど、シリーズラストであるトイ・ストーリーと比べるのはチョット酷かなーとか思ったり。この夏1本映画観るなら、うん。ヒックとドラゴン間違いなくお勧めですねえー。
個人的には今夏の洋画はインセプション、アニメはヒックとドラゴン。これで決まり。ですかねえ。