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英国王のスピーチ観てきました

\昔の王は騎乗してポーズ取ってりゃ良かった。今の王は折りにつけ演説し国民の機嫌をとれ!/\マジスカ!?/

地震ですっ飛んでしまったのですが先週英国王のスピーチ観てきました。周りの評判がなんか良かったのでつい…。
とても面白かったです。なんやかやできっと文句を書いてしまうであろうドラちゃん観にいくより良かったかも。
えーと、善良であるがどもり症で内気な英国王ジョージ6世が、国民を鼓舞するスピーチをするのにこのままじゃアレだってコトで矯正士を雇い、スピーチを訓練しどもり症を克服していくってハナシですねー。
事前情報入れずに行ったので観る前は王とライオネル(スピーチ矯正士)の身分差を使ったコメディなのかな?とか思ってたのですが舞台はまさに戦争前夜。お題の「キングススピーチ」とはドイツへの宣戦布告を受けてのスピーチだったのですねえ。重い。これから苦難の道を歩むであろう国民に真摯に語りかけるスピーチは胸を打ちましたよ。

喋れない、逃げられない、やるしかない。

首相や大統領と違い、王は生まれながらに王なんですよね。たとえ本人に資質がないとしても。当人がやりたくなくとも。権力を失い象徴たる存在となって久しい英国王がそれでも「象徴」という存在から逃げられない。国民の心のより所にならなくてはならない。その重責たるや察するに余りあるわけで。
ジョージ6世が善良王として人々から尊敬されているのって、まさに当人がその器でないと最も自覚しながらそれでも国民の為にその重責を担い続けたからですよね。
偉大な先王である父を失い、また兄のように王冠を置いて恋人の元に去るわけにもいかず、死ぬまで責務を背負いつづけたからこそ国民も彼を敬愛しているわけで。
うーんうーん。期せずして我が国扶桑も未だかつてない国難に直面している真っ最中なのだけど、国を背負う最高責任者である内閣総理大臣のスピーチが驚くほど軽佻浮薄に聞こえたのはやはり彼が「厭になったらいつでも逃げ出せる」立場にあるからじゃないかと思ったり。果たして彼が首相になったのはどういう経緯だったか。まさに先の首相が浮ついた言を弄して職務を放棄したという事実を読むにあまりに皮肉だなと。彼の幼さは兎も角、その幼さを諌めるチャーチルやライオネルのような役者が周りに居なかったというのもまた悲しいトコロ。政治家がいつでも逃げ出せる立場にいて技術者が逃げ出さずに職務を全うする今の状況もまたモニョルですね。むううん。
歴史モノとしても面白く観られる(チャーチルとか若エリザベス女王とか出てきてニヤニヤ)のでお勧めですよ。