cloudair-クラウドエア-

はてなダイアリーから移転しました

[感想]屍者の帝国

人類の存亡をかけた、粘菌との…対話の始まり! (BGM:FINAL MISSION~QUANTUM BURST)

読んだ

屍者が労働力の代替として広く普及した19世紀末の世界を舞台に、ジョン・H・ワトソンと彼の無二の親友フライデーを主人公に据えた映画 屍者の帝国、面白かったんだけどオチ(結晶化した言語を用いた霊素の上書き)がイマイチピンと来なかったので原作を読んでみた。
原作、密度が濃くて読むのに難儀したけど面白かった。
映画の屍者の帝国は屍者化したフライデーから何としても彼の魂を見出す!という妄執に取り憑かれたワトソンの物語って感じだったんだけど、原作は、屍者事件を追い世界を巡るワトソンの手記といった趣きで(フライデーは彼に同行する筆記者という扱い)まさに正しくシャーロックホームズにおけるドクターワトソンその人の話になっており、それゆえ映画に比べて若干熱量に乏しく感じた。
期待していたオチは映画とほぼ同じでした(ヽ´ω`)
以下感想というかオチの解釈について。
ここからめっちゃネタバレするので折りたたんでおきます。


あらすじ

フランケンシュタイン博士による屍者蘇生技術が広く普及した19世紀末、英国秘密諜報員ジョン・H・ワトソンは新型屍者の事件を追って世界を巡るうちに、原初の知性ある屍者ザ・ワンと対面し、彼が語る魂の正体へと至る。
ザ・ワン「魂=粘菌。屍者技術は粘菌の不死化が原因だから。いずれ人類は粘菌に滅ぼされるわ」
ワトソン「まじかよ」
偽史をベースにしたスチームパンク、ゾンビ、物語世界と現実世界のキャラクターが入り交じるスターシステムを盛ったワイワイ19世紀版fate物語。

オチについて

映画を見て唯一腑に落ちなかった「ワトソンが自らの体に霊素を上書きして屍者化する」くだり
一応映画の情報のみで彼の行動を解釈するなら、日本でザ・ワンとヴィクターの手記をみすみす取り逃がしたことでMによる「全人類屍者化計画」を止められなかったことへの贖罪の念と、屍者化した親友フライデーに魂が宿ったと確信が得られたので、自らを屍者化することで彼の理論の証明を果たしたかった。だと思った。
で、原作もラストでワトソンは霊素を上書きし、屍者化することで物語の幕は閉じるんだけど
原作がアニメと違うのは魂の正体が明らかになっていること。
魂とは、ザ・ワン曰く「粘菌が見せる幻」であり、「屍者とは不死化した粘菌に侵された人類」であるということ。人の魂が粘菌の見せる幻なら、いずれ不死化した粘菌により人は滅ぼされる(人の個性が単一化する)運命にある。
ワトソンが屍者化した理由は「粘菌と直接対話することでそれに対抗すること」
そこに自ら手をかけた生者と屍者に対する贖罪と、医学者としての務めを若干プラスした形なのかな?って思ったり。
結果ワトソンの意識は上書きされ、ホームズとベイカー街を駆ける!
シャーロックホームズZERO完!て感じで終わる。
屍者の帝国、実質劇場版ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-だったわ…


書いてみて一応自分の中では咀嚼できたけど、完全に的を外してる気もするので、これから他の方の感想を読んでみたい。