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金曜ロードショーでもののけ姫を見た日記

アニミズムに於ける神は自然災害と区別がつかない

毎年夏になると番宣やら映画の宣伝を兼ねてジブリのアニメ流すのが日テレのお家芸になってる気がするのだケド、今年はまずもののけ姫流してましたよ。なんかぼんやりしてて見るの忘れてたんだけど最後のほうちょろっと見たのでちと思ったコトなど書いてみますー。
何を書くかっていうとまあシシ神(擬化されたアニミズム)についてなんだけど…。神と人は寝た子を起こすなってコトですよね。

擬人化された神と人との戦争。それを見ている第三者

もののけ姫って要するに神vs人との争いで、最終的に人が勝利しました!ってハナシだと思うんだけど
その争いを止めるための交渉人としてサン(神サイド)とアシタカ(人サイド)が右往左往するってストーリーなんですよね。純粋な神と人とではもう交渉が成立しないので、神に育てられた人(サン)とタタラ場とは関係無い異邦人(アシタカ)がその責を担うハメになるんだけど、結局交渉虚しく神vs人との戦いは開始されてしまう訳です。
で、面白いのは、ここで神も人も(読み手も)勘違いしてるんだけど、神サイドの王(親玉)ってシシ神じゃないんですよね。(因みに人サイドの王はエボシ)ブタが勝手にシシ神を祭り上げてるだけ。んじゃシシ神ってのは何かと言えば神と人とのチェスを眺めてる第三者なんですね。
神サイド(豚)は勝手にシシ神を王だと思い、また人サイドもシシ神の首を獲ればこの戦争が終わると勝手に思っている。だけど実は違ったってのがもののけ姫の面白いトコロだと思うのです。
人がシシ神の首をとった瞬間、シシ神は「チェス盤をひっくり返しにかかった」アニミズムの神には「人や擬化された神のルールそれ自体が通用しない」んですね。ほんまもんのアレからみれば豚の王のなんと人間臭いコトか。
で、ラスト。シシ神の首をサンとアシタカが返したってのは、神と人の子が「アニミズムの神」を鎮めたってコトですよね。これなーこの瞬間スゴイ皮肉なんだけど「神と人とが協力してコトを成した」のですね。「ラスボスを封印した」という意味では腑に落ちるラストなのかなーとか思ったり。

乙事主のコト

今になって思えば乙事主ってホント面白いキャラクターだなーとか思ったり。ホントこれも皮肉なんだけど乙事主の一族って神の中でも最も人間に近い俗な神なんですよね。そんな最も人間に近い神が最も人間を嫌悪してるという。だからモロから「下品」「田舎者乙」とか蔑まれてる。人間と戦争だーとか一族の誇りが恨みがとか、シシ神が人間を癒した許せねえとかそういうのってモロから見ればホント人そのもののメンタリティーというか下卑た思想そのものなんですよね。こういうトコロのバランス感覚もまた面白いなーとか思ったり。